「下を向いていたら、虹を見つけることはできない」


 最近、ある写真家の方のウエブサイトで1990年ごろに撮影された渋谷駅のハチ公前の写真を見つけました。今と変わらずたくさんの若者たちが待ち合わせをしたり、談笑したりして賑やかな光景なのですが、わたしはそれを見て小さな違和感を覚えました。

 そこにいる人たちの「顔の角度」が、現代社会の人たちとまったく違うのです。今の待ち合わせ場所では、多くの人がスマホを見ているか下をむいています。ところが1990年のハチ公前では、誰もが前をむいていたのです。何人かいる下をむいた人も、スマホではなく本や雑誌を読んでいました。
 たった30年の間に、わたしたち人間の「姿勢」が大きくゆがめられてしまったことがわかります。

 一日の生活の中で、猫背になっていることが多くありませんか?顔を上げているよりも下をむいている時間の方がながくなっていませんか?

“You'll never find a rainbow if you're looking down.”
「下を向いていたら、けっして虹を見つけることはできないよ」

 これは、イングランド出身の喜劇俳優、チャールズ・チャップリン(1889~1977年)の残した心優しい名言です。

 人は、前向きに何かに集中している時、自然と背筋が伸びてくるものです。
顔を上げれば視野も広がり、今まで見えていなかった空の青さや木々の緑、今まで感じ取ることができなかったさまざまな人の機微にも触れることができます。

 うつむく顔を起こして、凛と背筋を伸ばしましょう。
下を向いていたら、けっして虹を見つけることはできません。