塾  報

 

塾報NO.30 2023年11月22日号

「掃除してますか?」

 今の若い人たちは何事も打算的に考えますから,日本の寺で作務(さむ)の様子を目にすると不思議に思うかもしれません。「作務」とは元は禅宗の修行法で,掃除など日常全般の雑務を意味します。

 「床は十分ピカピカなのに,なぜ雑巾がけをするのか」「庭に落ち葉1つ落ちていないのに,なぜ箒で掃くのか」 そして,そんな質問に僧侶は,「床を磨くのは,床をきれいにするためだけではない。あなたの心をきれいにするためですよ。」と笑顔で説いてくれます。

 きみたちの部屋,机の上はきれいになっているだろうか?

 自分の部屋,身の回りをきれいにすることは,自分の住環境を静かに見つめることです。それが規律ある生活を送ることにつながり,さらに,それが雑然として落ち着かない心の中を整えることにもつながります。その場にいる人の心を清浄な空気で満たしてくれるのです。

 四の五の言わず,掃除機と雑巾をその手に持ちましょう。その時,面倒だといって手を抜いてみたり,受験勉強が・・・,などと口にしてはいけません。

 掃除,整理整頓の習慣化は,間違いなくその人の心を常に前向きにし,自己肯定感を高めてくれます。掃除も大切な学びの1つなのです。



 

バックナンバー

 

塾報NO.12 2021年11月26日号

冬がきたら

冬がきたら 冬のことだけ思おう
冬を遠ざけようとしたりしないで
むしろすすんで 冬のたましいにふれ
冬のいのちにふれよう

冬がきたら 冬だけがもつ
深さときびしさと 静けさを知ろう

冬はわたしに いろいろなことを教えてくれる
先ず沈黙の大事なことを
すべての真理は この沈黙のなかからのみ生まれてくることを
それから自己試練の大切なことを
すべての事を成就するには
この不屈なたましいによってのみ成功することを・・・・・・


日本の仏教詩人、坂村真民さんが詠んだ「冬がきたら」という詩の一部です。

大事なことは、あえて、常に少し勾配のある道を選ぶということです。そして、ちょっとぐらい辛く難しい状況でも、やってやるぞと自らを鼓舞することです。木の肝心はその根にあります。来年も、その大地を支える強い根っこを育てていきましょう。


 

塾報NO.3 2021年1月号

「 クッキーの菓子箱」

以前読んだ新聞のコラムにこんなことが書いてありました。
スコットランドへの旅先で買ったクッキーの菓子箱におまけで入っていたカードに書かれていた言葉だそうです。

「いやなことばかり起きているあなたへ。いやなことがいっぱい貯まると幸運と交換することができますよ。」

悪いことや嫌なことが続いても、落ち込む必要も無いし、落ち込むどころか、「貯金」だと思えば、なんだか心に元気が湧いてきますね。

人生という空も快晴ばかりではありません。こころまで濡らす雨の日も、うつむいて歩くしかない強風の日も、手足が凍えるような雪の日だってあります。
そんな時、苦境から逃げないこと。自分と向き合うこと。強い精神を培うこと。そこに人間の真価があります。